山中薬師(医王寺)
山中薬師の名で親しまれる瑠璃山医王寺は、落合川に架かる下桁橋からしばらく登ったところにあります。この寺に伝わる薬師如来は行基(ぎょうぎ)の作と伝えられ、虫封じの薬師として、三河の鳳来寺、御嵩の蟹薬師とともに日本三薬師の1つとして広く信仰を集めています。またこの寺には、十返舎一九の『木曽街道続膝栗毛六編』にも登場する、狐膏薬伝説が伝わっています。
山中薬師の狐膏薬伝説
昔々、山中の医王寺にズイトンさんという和尚さんが住んでいました。いつものようにズイトンさんが庭掃除をしていると、狐が苦しそうにしているのを見つけました。抱き上げると、その狐の足には大きなトゲ。ズイトンさんがそれを抜いてやると、狐は嬉しそうにズイトンさんの顔を見た後、山の中へ消えていきました。
ある晩、玄関の戸をたたく音がするのでズイトンさんが戸を開けると、そこにはこの間の狐がいました。助けてもらったお礼にと、狐はよく効く膏薬の作り方を教えに来てくれたのでした。ズイトンさんは教わったとおりに膏薬を作り、腰に貼ってみると、いつもの腰痛はどこへやら。喜んだズイトンさんが「御夢想 狐こうやく」という看板を掲げて膏薬を売ると、村人はもちろん、遠くからわざわざ買いに来る人が絶えなかったということです。
また、狐膏薬伝説にはもう一つ、飛脚に化けた狐を助けたお礼の「徳さんの狐膏薬」というお話も残っています。
